江戸時代後期から幕末にかけて大流行した「梅は咲いたか 桜はまだかいな」と歌われた『端歌:はうた』 <梅は咲いたか>の一節です。
「端唄」は、各地の流行歌が江戸化したもので、庶民が自分で作って、歌い楽しんだのが始まりと言われています。しかし、次第に「小唄」の出現によって衰退しますが、実際には殆ど同じで江戸の俗謡と言えば間違いないそうです。
~ 梅は咲いたか ~ 《端 唄》
梅は咲いたか 桜はまだかいな
柳ャ なよなよ 風しだい
山吹きャ 浮気で 色ばっかり
ションガナイ ションガナイ
あさり取れたか はまぐりャ まだかいな
あわびャ くよくよ 片想い
サザエは悋気(りんき)で 角(つの)ばっかり
ションガナイ ションガナイ
柳橋から 小舟をいそがせ
舟はゆらゆら 波しだい
舟から上がって 土手八丁 吉原へご案内
ションガナイ ションガナイ
お座敷唄の中では、知名度の高い人気曲ですが、意味までご存知の方はあまりないのでは? 梅に、桜に山吹は春らしい花で、楽しい唄と思いませんでしたか! (^^♪
実はこの唄、意味を知ると、と~っても色っぽい唄なんですヨ! (@_@;) 花柳界のお姐さん達をお花にたとえて、、
梅・桜・柳・山吹は花柳界の芸妓たちを暗示したもので、梅の花は若い芸妓、桜は上のお姐さん、柳はゆらゆらと移り気な芸妓、そして山吹は「七重八重 花は咲けども 山吹の実の一つだに なきぞ悲しき」と詠まれた歌が有りますように、実を結ばない浮気性で見持ちの悪いお姐さんとして唄われています。
あさり・はまぐりといった野暮な部分は割愛するが、悋気(りんき)は嫉妬の意味です。そして、あわびは二枚貝ではないため相手がいない片思いの意味で、いわゆる「磯の あわびの片思い」ですね。
神田川に掛かる柳橋の周辺は、花街で船着き場でもあり、まず「柳橋の芸者さん」と遊んで、遊びたらない旦那衆が小舟を仕立て山谷堀へ、そして土手を八丁ほど歩けば吉原へとお遊びする旦那様方がいたそうです。
どんだけ遊んだらいいのだ!! ほんまにうらまやしい~~ (>_<)
庶民から生まれた端歌は、小唄より庶民に愛好されましたが、代々受け継がれていく家元制度もなく衰退していったようですが、別バージョンや替え唄も多くあります。 今でもお座敷唄として「深川」「奴さん」など親しまれ唄いつがれています。
《追記》「梅は咲いたか」の出だしの「梅」は「うめ」ではなく「んめ」と唄うそうです。日本語の「ん」には m 音 と n 音とがあり、この場合は m 音 から始める。古文にも「梅」は「むめ」とあります。
二月も後わずか! 2/25 記